織っている時はとても楽しい。
楽しいと言ってられるのは、私が手織のプロではないからでもあるけれど、織る部分は織物のハイライトなのです。
そして、織物を作る中で織る時間は意外と少ない。
糸を機(はた)にかけるまでが大変で、ものによりけりだけど、比率は準備1:織1なんてザラなんです。
もちろん、織るのにも時間と技術が必要で、織物としての顔ができる部分だから、一番上手い下手が表れるし、私のようにおおざっぱな人間はてんでダメなのだけど。
緻密な絣糸を手でくくる。糸を作る。繊維や染料のとれる植物や生物を育てる。それが育つ環境を整える。と、どんどん根っこに近づいていくと、気の遠くなるような時間と手間が必要になる。
そんな苦労の末に機にかかった糸に向かい合う。いざ、織り出す時はどんな気持ちか。
そうしたあれこれが思い出されるとピッと背筋が伸びて、、自然への感謝や、なんだか神聖な気持ちになるんです。
私自身がアフリカの布を織る訳ではないけれど、伝統の布作りをする時は、私一人ではない、その民族の歴史を背負った、またその未来を見据えた、責任を持ったものづくりをしなくては、とずっと思っています。